TOPコラムオーナーの不安、金利上昇と修繕費の対処法【FP大家・連載第13回】

コラム

2022年11月24日

オーナーの不安、金利上昇と修繕費の対処法【FP大家・連載第13回】

 

不動産投資オーナーの不安 その3:金利上昇リスク

前回は「多くの人が陥る大家業の不安」というテーマで、「空室が続いたらどうしよう・・・」「家賃が将来下がったらどうしよう・・・」という2つの内容に関してお伝えしました。

今回は「今は低金利だけれど、今後上がったらどうしよう・・・」について、お伝えします。

2022年9月現在、住宅ローンの金利は変動型で0.4%などと低利の金融機関があり、
また不動産投資、大家業向けのアパートローンも、1%台後半~2%台前半の金融機関があるので、借りる側からすれば、かなり有利な状況にあります。

そんな状態を目にすると、「今はかなり低いので、あとは上がるしかない・・・」とか「いつ上がるか分からないから不安・・・」という声も耳にします。

そんな不安を和らげるのに効果があると私が考えていること。
それが「繰上返済」です。
特に、不動産投資、大家業の場合に効果があるのは、毎月の返済金額を下げる「返済額軽減型」の繰上返済だと私は考えています。

ひとつ、シミュレーションをしていたいと思います。

2,000万円の物件を、頭金10万円、1,990万円を金利2%、期間30年で借りて、購入したとします。
その場合、当初の毎月の返済金額は、73,554円になります。

仮に10年後、金利が2倍の4%に上がったとすると、毎月の返済金額はいくらになるでしょうか?
答えは、約88,000円です。当初の返済金額との差額は、約14,500円になります。
(10年後まで繰上返済をせず、残高が約1,450万円の場合)

では、この10年後、金利が4%に上がった時でも、毎月の返済金額を当初の73,554円のまま据え置くためには、いくら繰上返済する必要があるでしょうか?
それは、約240万円です。

約240万円「返済額軽減型」の繰上返済をすることで、10年後の金利が4%にあがったとしても、返済金額が当初と変わらないまま継続することができます。10年で約240万円なので、毎月2万円積立することで、金利上昇に備えられることになります。

このように、金利不安がある場合、返済額軽減型の繰上返済が、効果を発揮します。
そして、その原資は、毎月のキャッシュフローの手残りや給与などの収入から備えておくことが、有効な手段になります。

不動産投資、大家業は、購入がスタートと良く言われます。

不労所得と言われることもありますが、不動産投資は賃貸経営です。
賃貸管理などアウトソースできる部分も多いですが、あなた自身が貯蓄を継続することなどが、経営を安定させる近道にもなります。

任せきりにするのではなく、あなた自身もコツコツ積立を継続するなどして備えるという努力をすることが、結果的に不安を和らげ、身を助けることにもつながる。

私は、そのように考えています。

※コラムはまだまだ続きます。ぜひ最後までお読みください。


【コラム読者様限定】FP大家・齋藤岳志氏の人気書籍をプレゼント!

 

不動産投資オーナーの不安 その4:修繕費リスク

ここからは「将来的に修繕費が結構かかってくるのでは・・・」について、お伝えします。

築年数が経てば、設備も古くなります。そのため、老朽化に備えておく必要があり、大家さんによっては400万円近く修繕費がかかったという話を聞いたこともあります。

「そんなに費用がかかったら、毎月受け取る賃料が、修繕で一気になくなってしまう・・・」と不安な想いになられた方もいらっしゃると思いますが、安心して下さい。
400万円近くかかったというのは、一棟アパートを所有されている方の話です。

もしあなたが、私と同じように、中古ワンルームなどの区分マンションを選ぶのであれば、その不安は杞憂に終わります。
その理由は、区分マンションには「修繕積立金制度」があるからです。

一棟アパートなどと異なり、区分マンションは、各部屋の所有者が、毎月一定額ずつ、管理組合へ支払いをして、将来の修繕に備えた積立を行っています。

それによって、毎月の手取りは一棟アパートより少なくなりますが、一時的に大きな支出の負担を強いられることは避けられる可能性が高いのです。

エントランスや集合ポスト、外壁などの共用部に関しては、原則、毎月の修繕積立金をもとにして、修繕を行っていきます。そのため、あなた自身が気にしないといけないことは、専有部と言われる部屋の中だけになります。

では、部屋の中の修繕には、どのようなことが考えられるでしょうか?

一番可能性が高いこととしては、エアコンや給湯器の故障が考えられます。
エアコンは、おおよそ7~10万円前後、給湯器は、おおよそ10~15万円前後の金額になるケースが多いです。
交換時期の目安は、エアコンは10年前後、給湯器は12年前後と言われています。

冒頭の400万円と聞くと驚くと思いますが、上記のように考えると、区分マンションの場合、修繕費用は、あまり気にしすぎなくても良いと思いませんか?

私自身、約15年、中古ワンルーム大家を続けてくる中で、エアコンや給湯器の交換をした部屋もいくつかありますが、それまでの賃料の手残りでまかなえています。
仮にまかなえないケースがあったとしても、つみたてNISAなど、不動産以外で運用しているお金を、一時的に充てれば良いとも考えています。
頻繁に起こる訳ではないので、将来の修繕を過度に意識して、備えることまでは不要ではないか、と私は考えています。

もし、どうしても手持ちのお金を減らしたくないとか不足するような場合は、金融機関から設備資金として借りるという選択肢もあります。
マンションへの投資が、賃貸業として行われ、認められているからこそ、金融機関も事業資金として修繕に対しての融資を検討してくれるのです。

【連載第14回】へ続く

「FP大家コラム」連載記事一覧はこちら

ケセラセラ横浜:https://fpoffice-yokohama.com/
ラジオ音源:https://fpoffice-yokohama.com/audio/
動画:https://fpoffice-yokohama.com/videos/

 

【コラム読者様限定】FP大家・齋藤岳志氏の書籍プレゼント!

齋藤氏の人気書籍「FP大家だけが知っている 資産形成に中古ワンルームを選ぶと失敗しない理由」をプレゼントいたします!ご希望の方は下記リンク先のフォームよりお申し込みください。