株式投資

株価とは?決まり方・買い方・時価総額との関係を初心者にもわかりやすく解説

編集者:Money Theory編集部
株価とは

株価は、ある株式の銘柄の1株あたりの値段のことです。

証券取引所で、証券会社を通じた投資家の「買い」と「売り」の関係で変動します。

一般的に、「買い」注文が多い場合は高くなり「売り」注文が多い場合は低くなる仕組みです。

今回は、株価について詳しく解説していきます。

株価とは

株価が変動する理由

では、「株価」とはどのようなものかわかりやすくご説明していきます。

株価とは株の値段のことです。

株式市場は投資家どうしが希望価格を出し合って取引が成立する仕組みのため、「定価」がありません。

つまり、取引が成立するたびに株価は変動します。

現在の株価とは、最も直近に取引が成立した価格のことのため、この「株価」で注文したからと言ってその値段で売買が成立するわけではないのです。

株価を理解するには、株式市場について理解することが一番の近道です。

そこでここからは、初心者の方でも理解できるよう、株式市場や株式投資の基本から丁寧にわかりやすく解説していきます。

人気の株は高く不人気の株は低くなる

株式市場での株の取引は、買いたい人と売りたい人が価格や数量を出し、折り合いがついたところで売買が成立します。

ちなみに、売買が成立することを「約定」と言います。

約定…株式市場において売買が成立すること

株式市場における株価の変動の仕方は、一般的な経済と変わりません。

人気がある商品は値段が高くても売れますし、反対に、人気がない商品は安売りしないと売れないですよね。株価も同様です。

あなたが投資家だったら、業績がよく利益を多く稼いでくれそうな会社に投資したいですよね。そういう会社は多くの投資家が株を買いたがります。

しかし、実は流通している株の数には限りがあるのです。

そのため、売りたい人に対して買いたい人の数が多くなっていき、買いたい人の間で競争が起こります。

Aさん「100円で買いたい」
Bさん「じゃあ110円で買う」
Cさん「それなら120円で」

と値段が上がり、やっと「売ってもいいかな」と思う人が現れて売ってくれるのです。

つまり、人気がある銘柄の株価は高く、人気がない銘柄の株価は安くなっていきます

オークションなどを想像するとわかりやすいのではないでしょうか。

そもそも株とは?

株価が変動する仕組みは理解していただけたのではないでしょうか。

では、そもそも株とはどのようなものなのでしょうか?

株は正式には株式と言います。

株式…株式会社が投資家から資金を集めたときに、資金と引き換えに発行する証書

では、なぜ株式が発行されるようになったのでしょうか?

会社が何か事業を起こそうとすると大きな資金が必要になりますよね。

しかし、当然何十億という大きなお金を会社が独自で用意することはできません。

そこで、その資金を投資家から集めるかわりに、お金を出してくれた人々に証明書として株を発行するようになったのです。

「じゃあ投資家はお金だけ出してメリットないの?」と思いますよね。

メリットはあります。

投資家は、資金を出すことで会社が上げた利益の一部を還元してもらうことができるのです。

そのため、多くの投資家は利益を多く稼いでくれそうな、業績のいい企業の株を買いたがるのです。

また、会社が発行する株を購入した投資家を「株主」と言います。

株主…会社の株を保有している投資家。会社のオーナー

株主には、様々な権利が与えられます。詳しくはこちらをご覧ください。

https://mane-toku.com/kabu/kabunushi-toha/

時価総額と株価の関係

株価がどのように決まるのか、ご理解していただけたのではないでしょうか。

そこでここからは、株価と密接に関係している「時価総額」についても、ご説明していきます!

時価総額も株価と同じくらい大切ですので、ぜひこの機会に習得してください。

時価総額で企業の価値がわかる

では、そもそも時価総額とはどのようなものか、ご説明していきます。

時価総額…企業価値を評価する際の指標。時価総額が大きいということは、業績だけではなく将来の成長に対する期待も大きいことを意味する。求めるための計算式は「時価総額=株価×発行済み株式数」

よくテレビやドラマで「時価総額~億円」という言葉を耳にすると思いますが、実際何を指しているかよく分からないですよね。

時価須額とは簡単に言えば「企業にどれだけの価値があるのか」つまり「企業をまるごと買い取るとしたらいくら必要か」を算出したものです。

時価総額が確実に合っているとは言い切れないのですが、時価総額以上に企業の価値をはかれる指標はありません。

企業への投資決定をする際の1つの指標として活用してください。

ちなみに、求めるための計算式は以下のようになっています。

時価総額=株価×発行済み株式数

時価総額で同業種の比較も可能

では、実際に時価総額では何をすることができるのでしょうか。

答えは、「同業種の比較をすること」です。

例として自動車メーカーの時価総額を比較してみましょう。

企業名 時価総額
トヨタ自動車 20兆1715億円
本田技研工業 5兆7060億円
日産自動車 4兆5032億円

このように時価総額で比較すると、トヨタはホンダの3倍以上、日産の4倍の時価総額を持つ圧倒的な存在であることが一目で分かります。

つまり、時価総額で比較することで、CMなどで漠然と抱いていた企業イメージではなく、数字としてどこの企業が最も力を持っているかを知ることができるのです。

投資判断を下すときに大変便利です。

時価総額を見る時の注意点

では、時価総額を実際に利用するときの注意点をお伝えしていきます。

時価総額を利用する際の注意点は「新株発行」と「優先株」です。

先ほどもご説明したように、時価総額は、株価と発行済株式数のかけることで求められます。

そのため、ある企業の時価総額が過去と比較して増えていた場合、新株を大量に発行したことが原因の場合があるのです。

見かけの数字にだまされることなく、新株が発行されていないか注意して見るようにしましょう。

また、優先株のような普通株以外の株式が発行されている場合もあります。

優先株…配当を普通株より優先して受けられるなどの権利をもつ株式

「時価総額」とは、普通株の時価総額を指すのが一般的です。

優先株が発行されている企業は、その分も時価総額に足さないと普通株しか発行していない企業と同条件での比較ができないのです。注意してください。

株の稼ぎ方

「株の仕組みは分かったけど、具体的にどんな風に利益を得られるの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。

株式投資では、主に以下の3つの稼ぎ方があります。

  1. 値上がり益で稼ぐ
  2. 業績に応じた利益「配当」で稼ぐ
  3. 「株主優待」で稼ぐ

順番にご説明していきます。

株価の値上がりを利用した「値上がり益」で儲ける

株式投資の稼ぎ方1つ目は、値上がり益です。

値上がり益…株を買った値段より高い値段で売ることで得られる利益のこと

簡単に言えば「安く買って高く売る」ことによる差額で利益を得るのです。

とても単純な作業ですが、上手くいけば3つの稼ぎ方のなかで最も大きな利益を得ることができます。

株式投資における多くの投資家は、この値上がり益を目的に売買をしています。

配当で儲ける

株式投資の稼ぎ方2つ目は、配当です。

株主には、会社が得た利益の1部が還元されます。

これを「配当」と言います。

配当…株主に対し、会社の利益の一部を還元すること

先程ご紹介した値上がり益が、保有している株の10%や50%と大きな利益を狙えるのに対し、配当は2,3%程度です。

少ないと思われるかもしれませんが、値上がり益は値下がりしてしまえば利益どころか損失につながってしまいます。

一方で配当は、会社の利益が大きく膨らめば増え、業績が悪くなれば減りはしますが、損失にはなりません。

つまり、配当は着実に利益を得られる方法と言えるのです。

ただ、1点注意していただきたいことがあります。

すべての銘柄で配当があるとは限りません。

会社の業績が悪くなりすぎると、配当がなくなってしまうケースもあるため注意が必要です。

また、企業によっては業績が悪くなくても配当を実施していないところもあります。

配当で稼ぎたいなら、事前に配当を実施している企業か確認するようにしましょう。

株主優待で儲ける

株式投資の稼ぎ方3つ目は、株主優待です。

では、そもそも株主優待とはどのようなものなのでしょうか。

簡単に言うと、株主優待とは企業からのプレゼントです。

株主優待…株を持っている人(=株主)に対し、会社の利益を還元する制度の一つ。自社の製品や割引券など、特徴は企業によって様々

具体的な例としては、食べ物や自社製品、金券や割引券などです。

株式投資において最も利益率が大きいのは値上がり益なため、株主優待でそこまで利益は期待できないのでは?と思われるかもしれません。

しかし、現金に換算するとかなり高利回りの銘柄もあります。

配当に株主優待を加えた実質配当利回りが5%超える銘柄も多いです。

普通に銀行で預けた際に、利回りが5%になるのはあり得ないですよね。

つまり、値上がり益関係なく配当と株主優待だけでも十分お得になるのです!

配当と株主優待を受け取る時の注意点

値上がり益はもちろん、配当と株主優待もお得ですよね。

しかし、配当お株主優待を受け取るには、条件を満たさなければなりません。

大変重要な内容なので、わかりやすくご説明していきます。

配当と株主優待を受け取るための条件は、権利確定日に株主でいることです。

では、権利確定日とはなんでしょうか。

権利確定日…企業の決算日。詳細な日時は企業によって様々。権利確定日に株主でいることで、配当と株主優待を手に入れることができる

ここまで読んでいただいた方のなかには「じゃあ権利確定日に株を買えばいいのか」と思われた方もいらっしゃるでしょう。

しかし、権利確定日に株を買っても配当と株主優待を受け取ることができません。

なぜなら、株主として株主名簿に名前が登録されるには、権利確定日の3営業日前までに株を買わなければならないためです。

この権利確定日の3営業日前の日のことを権利付き最終日といい、権利付き最終日の翌日を権利落ち日と言います。

  • 権利付き最終日…権利確定日の3営業日前。この日に株主でいることで、権利確定日に株主名簿に名前が記載される。つまり、配当と株主優待を受け取るためには、権利付き最終日に株主でいることが必須
  • 権利落ち日…権利付き最終日の翌日。この日に株主になっても配当や株主優待を受け取ることはできない

下記の表にまとめたので、ぜひご覧ください。

3月1日 4営業日前
3月2日 3営業日前 この日に株主であれば配当を受け取れる
3月3日 2営業日前 の日に株主になっても配当は受け取れない
3月4日 1営業日前
3月5日 権利確定日
3月6日

つまり、権利付き最終日に買って権利落ち日に売れば、株を1日しか保有してなくても配当金がもらえるのです。

「超お得!」と思われるかもしれませんが、他の投資家も同じように考えています(笑)

そのため、権利付き最終日に向けて株価が上がり、権利落ち日に株価が下がることは頻繁に起きています。

もし配当や株主優待目当てで株を買うなら、権利付き最終日の数週間前までに買っておくのがおすすめです。

しかし、やはり株式投資の基本は「株価が安いときに買って高く売る」ことなので、無理に配当と株主優待にこだわるのはおすすめしません。

あくまでも、株式投資のおまけだと思うと良いでしょう。

株は証券取引所で売買する

ここまで、株価がどのように変動するのか、また株式投資の仕組みや稼ぎ方についてご説明してきました。

では、これら株式の取引はどこで行われているかご存じですか?

答えは、証券取引所です。

証券取引所…大勢の投資家たちが株を売買するところ。株を「買いたい人」と「売りたい人」が集まって市場を形成している

日本には以下の4か所の証券取引所が存在しています。

  • 東京(東証)
  • 名古屋(名証)
  • 札幌(札証)
  • 福岡(福証)

このうち、東京にある東京証券取引所が上場数や取引数が圧倒的です。

もちろん地方にも優良な銘柄が存在していますが、地方の証券所に上場している企業の多くは東証にも上場しています。

初心者の方は、まずは東証で取引すれば間違いありません。

しかし、「実際どうやって株買うの?」と思いませんか?

一般の投資家は、証券会社を通してしか取引ができません。

つまり、株を買いたい人は証券会社に「買い注文」を出すことで、その注文が市場である証券取引所に出されるのです。

株を売りたい場合も同様で、証券会社を通して「売り注文」を出すことで、取引をすることができます。

現在の主流は、オンライン上のネット証券です。

約40社あるため、自分の投資スタイルに合った証券所を選ぶことが大切です。

株初心者におすすめのネット証券ランキング!証券会社選びの4つのポイントもご紹介

投資する銘柄選びのポイント

しかし、もちろん時価総額だけで投資決定を下すのは大変危険です。

ここからは、投資する銘柄を決定する際に時価総額以外の観点からどのように見ていくのか、ご紹介していきます。

1.身近な会社に目を向ける

まずは、身近な会社に目を向けてみましょう。

初心者の方は身近な会社の株を買うのが無難です。

例えば、自分が愛用しているものを作っているところや自分が頻繁に利用しているサービスなどです。

「もっと穴場的な株を買わなくていいの?」と思ってしまうかもしれませんが、よく知っているところであればその会社の変化を敏感に読み取ることができますよね。

「そんなことで株価が予想できるの…?」と思っている方!あなどるなかれ!実は何気ない情報こそが、株価の動きを見事に予見するものですよ。

2.決算短信をチェックする

続いて、決算短信をチェックしましょう。

1で身近な会社の中から目星をつけたら、それらの会社の業績をチェックする必要があるからです。

上場企業は年4回の決算を行っており、「決算短信」として一般投資家に開示されます。

もちろん、慣れていったら詳しく見ていくようにしてほしいのですが、初心者の方はまず「決算短信」の1ページ目にある業績の基本的なデータに注目してください。

詳しくご説明していきます。

「営業利益」と「業績予想」に注目する

決算短信の中で最も注目してほしいのが「営業利益」と「業績予想」です。

営業利益…本業の儲けを表す。この増減が株価に大きな影響を与える
業績予想…会社側が立てる今後の業績の予想。ここが情報修正や下方修正されると株価は敏感に反応する

この2つは特に株価に影響を与えます。

初心者の方は難しいと感じてしまうかもしれませんが、とりあえず「営業利益」と「業績予想」さえしっかりチェックしておけば大丈夫です!

できれば、この時点で時価総額も一緒に算出しておくのがよいでしょう。

相場は常に未来を見て動くため、見逃さないようにしましょう。

3.配当や株主優待をチェックする

「株価が上がりそうだ」と予測が立てられる会社を見つけたら、その会社の配当や株主優待はお得かをチェックしましょう。

先程お伝えしたように、株式投資では、値上がり益以外に配当と株主優待でも稼ぐことができます。

どうせお金を出すなら、少しでもお得な銘柄を選びたいですよね。

自分のライフスタイルに合っていて活用できる株主優待かをチェックしましょう。

また、株主優待を受けるには、条件があることをご存知ですか?

  • 企業の権利確定日の3営業日前までに株主である必要がある
  • 権利確定日…企業の決算日。月日は企業によって異なる

株主優待や配当を受け取りたかったら、権利確定日の3営業日前までには、確実に株主になっておくようにしましょう。

初心者は「ミニ株」と「るいとう」に注目する

株を買う際には、最低売買単位(単元株数)ごとに買わなければなりません。

多くの企業が単元株数を100株または1000株に設定しています。

たとえ1株の値段が安くても100株分のお金を払わなくてはならないので、ある程度まとまった資金が必要です。

しかし、初心者の方は特に「まとまった資金がない…」という方が多いのではないでしょうか。

そんな初心者の方におすすめの投資方法が「ミニ株」と「るいとう」です。

  • ミニ株…単元株数の十分の一の株数で売り買いできる投資法。例えば、単元株数が100株なら10株から購入できる
  • るいとう…「株式累積投資」1銘柄につき毎月1万円以上1000円単位で積み立てできる制度

ミニ株、るいとうは少額資金で売り買いができるため多くの銘柄を買うことができます。

また時間を分散して投資することも可能なため、株式投資におけるリスクを低減することができるのです。

ただ、ミニ株とるいとうを取り扱っている証券会社は一部に限られ、銘柄も決まっています。

また、ミニ株もるいとうも各社で決められた単位の株数になるまで株主優待が受けられないため注意しましょう。

株価とは各企業が発行する株式の値段

  • 株価とは、1株の値段のこと
  • 株価は常に変動しており、人気な銘柄は高く不人気な銘柄は安くなる
  • 権利付き最終日に向けて株価は高くなることが多いため注意が必要

株価が上がるということは、それだけ「買いたい人」が増えているということです。

しかし、周囲と同じように株価が上がり始めてから購入するのは、賢明ではありません。

業績が安定してるかつこれから伸びそうな銘柄を、周囲より早く見つけることが大切です。

日頃の情報収集を怠らず、誰にも負けない先見の明を身につけましょう。