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アドビの株価の見通し!10年で上昇してきた背景を解説

編集者:Money Theory編集部
アドビの株価の見通し!10年で上昇してきた背景を解説

アドビの株価がここ10年で急上昇しているようですが、今アドビ株は買時なのでしょうか。

この記事では、アドビの株価が上場している要因と株価に関する分析を基に今後の見通しについて解説していきますので、投資家の方々は是非参考にしてください。

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アドビはアメリカのコンピュータ・ソフトウェア会社

アドビとは、ジョンワーノックとチャールズ・ゲシキによって1982年12月に設立されたコンピュータ・ソフトウェア会社です。

現在はアメリカに本社を置いており、2007年からシャンタヌ・ナラヤンが会長兼CEOを務めています。

PDFに関するサービスを提供している会社であると認識している人が多いかと思いますが、実際には下記のような幅広いサービスを展開している会社です。

主なサービス名 内容
PDF 文字・図形・表などを印刷するように配置した状態で保存することができる電子文書ファイル
Photoshop 撮影した写真などを画像や文字を使って自由にデザインすることができるツール
Premiere Pro 撮影した動画を一人一人のこだわりに合わせて編集できるツール
Illustrator テキストや画像を組み合わせたイラストを作成することができるツール

上記のようなサービスは主にプロクリエイターのために開発されたもので、マーケターやデザイナーなどのプロ編集者の間では非常に高いシェアを誇るものです。

さらに、アドビの提供するサービスはクリエイター業界で世界水準と言えるほど確立されたクオリティでありこれからもユーザーは増えていくと予想できます。

ただし、ここ10年でアドビの株価が上昇してきた要因は需要の高いサービスの提供にくわえ、利用料金のサブスクリプション化が大きく影響していると言えるでしょう。

サブスクリプションとは一回の利用ごとに料金を支払うのではなく、毎月や毎年といった単位でユーザーから料金の支払いを受けることで収益を安定させるビジネスモデルです。

アドビは2011年からこのビジネスモデルを取り入れたことで業績の上昇と安定を実現させることに成功しました。

アドビの株価が今後も上昇し続ける2つの理由

10年間で急激な成長を遂げたアドビですが、今後も株価は上昇を続けるのでしょうか。

ここでは、アドビの株価が上昇を続けると予想できる要因について解説していますので、アドビ株の購入を悩んでいる人は参考にしてください。

サービスのクオリティが高くユーザーが増え続けている

アドビの提供しているphotoshopやPremium Proなどのサービスは世界中のプロ編集者が利用するほどの高水準になっています。
下表はアドビがサブスクリプションを開始してからの会員数の推移をグラフにしたものです。

アドビがサブスクリプションサービスを開始してから、月に4万人程のペースで会員が増えていき1年後には150万人程、3年後には400万人程の会員を抱える巨大なサービスへと成長しました。

2016年以降のデータに関しては公表していないものの広告業界の成長などに伴い会員数は増加していると考えられ、売上高・株価の上昇も期待できます。

Web広告・マーケティング業界の業績回復によるサービスの利用増加

2020年のコロナウイルス拡大の影響を受け多くのWeb広告・マーケティングを主軸とする企業は成長が減速しています。

これからコロナウイルスが収束し、世界中の企業で業績回復が見られればアドビのサービスを利用する会員数はさらに急上昇していくでしょう。

ただし、収益の成長率でいうと数値は年々低下していますので、これまでの爆発的な成長率を維持または超えていくようなところまでは期待できません。

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アドビの現在の株価データ

下記の表はアドビの現在(2021年4月30日)の株価に関する数値をまとめたものです。

アドビの株価・関連数値
株価 516.09 ドル
時価総額 2466億ドル
配当金  –
配当利回り
PER 41.17倍

今後の成長が期待されるクリエイター向けソフトウェアで急激に成長してきたことから、PER41倍という数値を記録しています。

同じハイテク銘柄であるアップルやマイクロソフトでも20倍ほどの数値であることを考えると、アドビが将来の成長を期待されている銘柄であることは明白です。

また、アドビでは株主配当をまだ出していない事から今後の成長において投資が必要な段階であることが分かります。

チャートで見るアドビの株価推移

下のグラフは2012年から2020年のアドビの株価推移を表したものです。

アドビの株価は定額課金制度を導入した2012年以降上昇しており、株価の平均成長率は年間20%程を維持しています。

また、アドビはプロの編集者向けソフトウェアを提供している事から、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年も売上高に大きな影響はなく上昇を続けているようです。

今のところアドビは配当なし

アドビは急成長の段階にあるという事で配当なしとなっています。

アドビの経営陣は今後も配当を支払う予定はないと公言しているため、配当目的でアドビの株を買おうと考えていた人は一度考え直した方が良いでしょう。

配当を受け取ることが目的で米国株を考えている方には、米国株ならではの60年連続増配銘柄や利回りが7%を超える銘柄がおすすめです。

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グラフで見るアドビの売上高推移

下のグラフはアドビの2012年から2020年の売上高推移を表したものです。

アドビの売上高は2012年から2015年にかけては40億ドル付近を横ばいに推移していましたが、2016年以降は平均成長率20%で急上昇しており2020年には128億ドルに到達しています。

2011年にソフトウェアの売り切りスタイルからサブスクリプションに事業モデルを変更した影響で2012、2015年に比べで2013、2014年の売上高は多少落ち込みました。

また、2019年にはユーザーのうちサブスクリプションの利用割合が90%を超えたということから、効率的なサブスクリプションへの切り替えが成功していると言えます。

事業別にみるアドビの売上高

アドビの事業はPDFやphotoshopのようなクリエイター向けソフトウェアを提供するデジタル・メディア事業とWebマーケティング支援ツールを提供するデジタル・エクスペリエンス事業の2つに分けられます。

売上高の割合はデジタル・メディア事業が7割でデジタル・エクスペリエンス事業が3割です。

デジタル・メディア事業がアドビの急激な成長を支える一方で、デジタル・エクスペリエンス事業も2019年までは高い成長株でしたが、2020年の新型コロナウイルスの影響でその成長は下降傾向にあります。

新型コロナウイルス拡大の影響により、企業の広告・マーケティング費用が縮小されていると言わけです。

地域別でみるアドビの売上高

アドビの地域別売上高は下記のようになっています。(2019年売上高)

  • 米国地域:58.2%(65億5.9百万ドル)
  • 欧州・中東・アフリカ:26.6%(29億75.2百万ドル)
  • アジア太平洋:15.1%(16億90.2百万ドル)

世界中で大きなシェアを誇るアドビのサービスですが、アジア太平洋地域の15.1%のうち6.7%は日本での売上高となっており、アドビの提供するサービスは日本においても欠かせないものになっていると言えるでしょう。

まとめ~アドビの株は買い時であると予想~

今後もアドビの株価は上昇していくと予想します。

サブスクリプションを採用しているため、全体的なアドビの売上高は景気に左右されにくく2020年のコロナウイルス後も成長を続けています。

さらにアドビの事業は利益率が高く、今後Web広告・マーケティング需要が回復していくにつれて成長率も回復していくでしょう。

アドビの株価は、これまでの急激な成長率を超えることは難しいかもしれませんが、今後10年間ほどは安定的な成長を続けてくれると予想します。